このモデルを此方に出すのは9台目。同社のワールドボーイGXO、2000GX辺りと同様人気が高く、入手が中々難しくなっているモデルです。ソニーのスカイセンサー5400やザ11と前後して発売されて居り、大きな16cmスピーカーと2.6Wと言う発売当時はクラス最大の出力、大きなフェライトアンテナ、凝った回路等で人気を博し、多少ラジオ販売でソニーにお株を奪われつつあったナショナルは溜飲を下げたかと思います。が、ソニーは初代BCLラジオとも言うべきスカイセンサー5800をこの後に出して大ヒットを記録します。誠に70年代初頭のこの時期はナショナルとソニーがお互いに切磋琢磨してラジオ市場を盛り上げた時期だったなあと思います。ついでに言えばこの頃のラジオには色々な創意工夫が盛り込まれて居り、小生の様なロートルには最も魅力的なモデルが多い様です。まあ、今はスマホひとつで全てが賄える時代ですから、ラジオと言う単機能の機器にこの当時程の情熱とお金を掛けるニーズは無いでしょう。今後もこんなラジオが出てくる事は無いと思います。特にこのクーガはこの前後のラジオと比べても部品も構成も極て豪華で丈夫な事も現在も人気が有る理由かと思います。重たいですが、このラジオならば四駆で山の中に入っても短波やローカルなAM放送は聴けるでしょうし、単一電池四本の底力でスマホの音楽を大音量で楽しむ事も可能です。丁度同時に何台かワールドボーイを出して居ますが、惜しいかなAUX(外部入力)端子が無いのでスピーカーとしては使えない。この点ではクーガが有利です(MIC端子が使えます)。音質も高音、低音に分けて調整できるので屋外では珍しいダイナミックな音が楽しめます。この個体は入手時点ではジャンクで、電源が入らず、汚れがひどく、バンド切替で盛大に雑音が出る、ガリあり、と言う状態でした。アンテナは根本からバッキリ折れており、アンテナ固定のネジも回せず、修理時に一時途方に暮れました。結局市販のアンテナに一工夫して付けています。一寸短いのは御容赦のほど。整備して見ると問題は意外と少なく、接触不良が主な物。整備、クリーニング後は全て正常、タイマーも作動します。全体的にキズは少なく、良い状態のだと思います。電池とACコードをお付けします。